from 常磐線特急電車より
フリーで働き始めた頃はどんな人からも仕事をいただいたら、感謝の気持ちを持って精一杯尽くす気持ちでいっぱいだった。
どんな無理難題を言われたとしても、喜ばれる事であれば、どんな事でもやっていた。
ほぼ無料みたいな価格でロゴを作ったり、無料で写真撮影したり、セミナーに誘われれば必ず参加し、雑務を手伝ってくれと頼まれれば、心よくOKして様々な雑務を無償で提供した。
喜んで貰えることを提供していれば、返報性の法則が働き、いつかは返ってくるだろうと思っていたし、そう学んでいたからだ。
その結果、どうなったか?
結論は「人による」だった。
人によっては、いくら与えたところで何も返ってこない。
逆に少しでも反抗しようものなら、奈落の底に突き落とすような態度をとってくる者もいた。
そんな時、情けない事に当時の自分はその態度に屈服していた。
その人から貰っている仕事を失うのが怖かったからだ。
本当に情けない。
でも、一方で僕が与える事以上に返して下さる方もいたし、僕の事を家族のように気にかけてくださる方もいたし、僕が提供する作業にとても高い価値を感じてくださる方もいた。
本当に感謝に絶えない。
気持ち良く働くためのクライアントの選び方
独立してからいろんな人と接して仕事をやらせて頂いたおかげで、ある程度、今後ずっとつきあっていけるクライアントかどうかを判断する基準を持つことができた。
前みたいに「どんな人」からの依頼も全てOKし、理不尽なお願いも全て聞いていたら、つまらない仕事をする羽目にもなるし、疲弊して潰れてしまう事にもなる。
独立当初は疲弊してしんどい状況になったとしたら、さすがに気を遣ってくれるだろうと思っていたが、常に自分中心で、人を奴隷のように扱う人がいる事を残念ながら知ってしまった。
こっちの体調を気遣うことなく、自分のためになることであれば、わがまま言い放題の人が確実に存在する。
お金を払っているのだから、何を言っても許されるなんて事は決してない。
どんなビジネスも価値と価値の交換。
つまり、クライアントがやれない事、困っている事をお金を頂いて解決するのだから、対等な立場と言える。
ここをはき違えている人と取引してしまうコト事態が自分を苦しめる原因となる。
だから、クライアントの選別がとても重要になってくる。
自分の身を自分で守るためにも!
そんな訳で、今までの経験を踏まえてどんなクライアントを選ぶべきかをここでシェアしたいと思う。
制作に協力しないクライアントは絶対にダメ
酷いクライアントに当たると、とてつもないストレスを抱え込むことになる。
クリエイターとして仕事の依頼を受ける際には、自身の経験とノウハウを総動員させて依頼して頂いたプロジェクトの目的を達成するための企画を練り、その企画をクライアントに提案する形になる。
企画通りに進められなければ、クオリティの高いものが作れない事を伝え、それぞれの作業の重要性を伝えてから制作に入っていくのだが、最初のプレゼンの時にOKしたとしても、いざ作業に入ると協力しないクライアントもいる。
完全丸投げでやれるほど、クリエイティブな作業は甘くはない。
絶対にクライアントの協力が必要だ。
そんな事はクライアントだって百も承知の筈である。
でも、協力してくれない人もいるのだ。
なぜ、このような事が起こるのか?というと制作の主導権を握られるのが嫌という感情が働くのだと思う。
経営者としてのプライドが影響しているのかどうかよくはわからないが、プロジェクトの目的を達成するためにプロが練り上げたアイデアよりも自分自身の考えを重視してしまうのだ。
こうゆう場合は、クライアントの言う事を聞いて制作してしまうという選択肢もあるが、基本的にこのような状況になるというのはクライアントは自分の考えが一番で制作者の事を信用していないという事になる。
僕は毎回、こうゆう状況に陥った時にはこう言っている。
「答えはやってみなければわからないです。」
「市場にしか答えは眠っていません。」
「だから、リリースしたら常に数字をチェックして問題点を改善するプロセスが重要なんです。」
と伝えている。
大抵これで納得してくれるが、それでも折れない場合は、仕事を断った方が良い。
クライアントのご機嫌を伺うためにする仕事ではなく、一緒にプロジェクトを成功させて一緒に喜びを分かち合おうとしているクライアントと一緒に仕事をした方が絶対に楽しい。
時間は有限なのだから、気持ちよく仕事はすべきだと思う。
料金だけで判断するクライアントはダメ
デザインの仕事というのはクリエイティブな仕事なので、当然、人によって提供する質に大きな違いが出る。
また、提供するデザインの種類も異なってくる。
例えば、webデザインに長けている人、グラフィックデザインが得意な人。イラストが得意な人。
または、マーケティングやコピーライティングに長けていて集客ツール制作が得意な人まで様々。
だから、まずは、どんなモノをどんなプロセスで作るかや、今までの制作物をチェックしてみなければ、本来、提供してくれる価値を判断することが出来ない。
でも、人によっては、仕事の内容を聞くことを一切せずに、金額だけ聞いてくる人もいる。
とにかく、あいみつをとって安いところに依頼しようとしているのだ。
そうゆう人からの依頼は受けない方が無難。
見積もりの段階から断った方が良い。
ちゃんと話しを聞かないというのは、そもそも別にどこに依頼しても変わらないでしょ。
と思っているという事。
デザインに対して価値を感じていないということになる。
そうゆう人から依頼を受けたところで、面白い仕事は絶対に出来ない。
ただ単に形にするだけの仕事はデザイナーの仕事ではなく、オペレーターの仕事と言える。
せっかくたくさんの経験を積んで身につけてきたスキルは活かせる仕事に使うべき。
仕事はしっかりと選別して、自分の能力を存分に発揮できる仕事を選ぶべき!!
決定権を持っている人が担当者ではない場合は要注意!!
クライアントと制作を進めていく際には、デザイナーとやりとりをする担当者が決まっている。
決定権を持った経営者や幹部の方なら問題はないが、従業員が担当者になっている場合は注意が必要だ。
まだ仕事を覚えたての平社員のような方にまかせている場合はその仕事は後々とんでもない事態に陥りがちとなる。
どんな事態になるかと言うと、せっかくターゲットを設定し、コンセプトを決めて順を追って進めてきたというのに、一通り出来上がってから決定権を持ったクライアントのトップがいちゃもんをつけてくる場合があるのだ。
場合によっては、ターゲットやコンセプトが全く異なっていて、最初からやり直しといったケースも発生してしまう。
クライアントのために最善を尽くして一つ一つ確認しながら慎重に進めてきたのに、そのプロセスはチェックせずに、最終の制作物だけで判断してくる。
こんなのはクリエーターをバカにしているとしか思えない。
最も大切な制作の方向性を決める作業に協力する事を怠り、自分の怠慢で発生したツケを悪びれる事無くデザイナーに押し付けてくるのだ。
あなたはどれだけ偉いのですか?と問いただしたくなる。
結局、理不尽な要望で作業ボリュームが増える事になるし、金額の交渉をしても納得してくれる人はあまりいない。
だから、最初から決定権を持った担当者と制作を進めていくべき。
後々発生するトラブルを未然に防ぐためにも、最初の打ち合せの時点でしっかりと確認して頂きたい!
PS
以上が僕が今までたくさんの人と仕事をしてきて、学んできたクライアントを選ぶポイントになる。
こうして書いてみると、これらの条件をクリアーしたクライアントを選ぶのは難しいと感じる人はいるかもしれない。
実際、この条件をクリアーしたクライアントを見つけ出し、自分が求めている仕事を行えるようになるのはデザインの仕事しかやった事がない人にとっては、最初は難しい事かもしれない。
だから、是非、デザイン以外のスキルを身につけて頂きたい。
最初に身につけて欲しいスキルは営業スキル。
デザイナーはBtoBのビジネスになるのだから、社長と対等以上に渡り合うための営業力は絶対に必要。
なぜなら、あなたが提供するデザインの価値はあなたが話す内容と態度で全く異なってくるから。
仕事を貰う前に高い価値を感じて貰えれば、非常に楽に制作を進められるようになる。
営業スキルとなると売り込みのように感じるかもしれないが、良い営業というのは、価値を伝える事。
つまり、あなたが提供するサービスで相手にどんなメリットがあるのか?どのように変われるのか?どんな問題を解決できるのか?等を魅力的に伝えるという事になる。
適確に伝える事が出来れば、多くの会社から依頼を頂けるようになる。
そうなれば、あなたはクライアントを選別することも可能になる。
あなた自身やあなたの大切な家族を守るためにも、是非、営業スキルを身につけよう!!